[本] いかにも理科系の作者が書いたと思わせるようなミステリ短編集
八一三号車室にて (アーサー・ポージス)
サスペンス、ホラー、奇妙な味など、バラエティに富んだ作品が集められた「第一部 ミステリ編」と 本格ミステリが集められた「第二部 パズラー編」の二部構成になっている。
数学を専攻していた作者らしく、理科系の知識を生かしたミステリが多い。 だからといって、物理トリック一遍倒の薄っぺらい感じなだけのミステリかというと、 そうではなく、それぞれに趣向が凝らされていて粒揃いという感じである。
甲乙つけがたいのであるが、 ミステリ編では、タイム・リミット・サスペンスとしてもドキドキさせられる「小さな科学者」、 パズラー編では、パスティーシュ物としても良くできている表題作、 不可能だと思われる犯罪をどのように成し遂げるのかに主題を置きながらも戦争の悲惨さが垣間見える「ある聖職者の死」、 エネルギー保存の法則を取り扱った「賭け」が好み。
本格ミステリファンにオススメ。
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