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2009年8月30日 (日)

[本] 大学を舞台にしたコージー・ミステリの佳作


矢上教授の午後(森谷明子)



70歳に近いと思われる風貌のミステリ好きの万年講師「矢上教授」が
大学で起こった殺人事件の謎を解くために奔走する『消えた玩具屋』のエドモンド・クリスピンを思わせるようなコージー・ミステリ。
エドモンド・クリスピンでピンとこない人には、若竹七海のコージー・ミステリを思わせるような作品と言えばわかるだろうか。



舞台が偶然にも閉鎖空間となってしまった大学。
(この閉鎖空間の登場のさせ方もユニーク。)
探偵役として張り切って奔走するミステリ好きの矢上教授。
殺人事件が起こっているのに殺伐とせずユーモラスに交わされる登場人物たちの蘊蓄話。
解決間近の後半に配されるお約束とも言えるドタバタ追跡劇。
これぞ、コージー・ミステリの王道と言える作品になっている。



「むろん、この状況を歓迎しているわけではないのだが。だがね、一度
こんな場面に行きあってみたいと思っておったのは確かだろうな」
 
「今時、交通手段も通信手段も絶たれた集団なぞ、小説の中にしか成立
しないと思っていたのだ」

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