[本] 渋い連作短編スパイ小説
ジョーカー・ゲーム (柳広司)
陸軍内に設立されたスパイ養成学校「D機関」の工作員の活動を描いた連作短編スパイ小説。
スパイ小説は、海外のものをいくつか読んだことがあるが、短編連作形式のスパイ小説を読むのはこれが初めて。
一読してみれば、それぞれの作品が短編とは思えないほど内容が充実していて、それぞれ趣向が凝らされていることがわかる。 海外のスパイ小説にも引けを取らない充実ぶり。
証拠の意外な隠し場所とその伏線が巧みな「ジョーカー・ゲーム」、 裏の裏の真相(推理)がいかにもスパイ小説らしい「幽霊」、 これぞまさにスパイ小説と思わせる謀略が用意された「ロビンソン」、 意外な形(だけど、スパイとしては理想的な形)でD機関の工作員が登場する「魔都」、 変死事件を扱った苦い幕切れの「XX(ダブルエックス)」など様々。
また、語り手も、D機関の工作員だったり、軍人だったりと短編毎に変わっている。
スパイ小説が好きな方にオススメ。
「何かにとらわれて生きることは容易だ。だが、それは自分の目
で見る責任を放棄することだ。自分自身であることを放棄するこ
とだ」
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