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2011年11月26日 (土)

[本] 今年翻訳されたディーヴァーの作品を尻目に別の作品を原書で読んだ

  • Edge(Jeffery Deaver)

今年、翻訳されたジェフリー・ディーヴァーの新作『007 白紙委任状』を尻目にノン・シリーズ物の本書に手を出してようやく読み終わった。

今回の主人公は、証人保護プログラムのプロフェッショナル Corte。ざっくりとわかりやすく言えば公的機関に所属するボディガードである。対する敵役は、lifterと呼ばれる犯罪者の中でもプロ中のプロのHenry Loving。

このlifterというのが私には馴染みのない犯罪者であった。lifterというのは、誰かに雇われて、雇い主が欲しがる情報をどんな手段を使ってでも手に入れる情報屋のプロである。その情報を持っている人物をつけ狙うのがlifterであるHenry Loving。その情報を持っている人物を保護するのが証人保護プログラムのプロCorteという図式である。

普通、ボディガードとかが主役だとその敵役は殺し屋がありがちだと思うのだけど、敵役をlifterにしたところが面白いところ。

lifterは、情報を握っている人物から情報を得るまでは、その人物を死なせてはならない。Henry Loving は、情報を握る人物の親、兄弟、子供などを人質にするなど相手の弱味を握り、情報を手に入れようとする。守る側は情報を握る人物だけでなくその人物にとって弱味となる人達も守る必要がある。タイトルのEdgeはこの弱味のことを意味している。

殺し屋の狙いは人の命だとはっきりしているが、lifterが狙う情報は何かはっきりしない。lifterの雇い主にとっては重要な情報でも他人にとってはどうでもいい情報かも知れない。情報を持っている人自身もそれが価値ある情報とは気づかない場合もあり得る。

lifterのプロHenry Lovingが次に狙うのは誰なのか、どんな手で襲ってくるのか、どんな情報を手に入れようとしているのか、雇い主は誰なのか、敵役をlifterにしたことでストーリーに幅が広がるのである。

情報を手に入れるためには何でもやるlifterのプロHenry Lovingとその情報を持つ人物と弱味となる家族を守るためなら何でもやる証人保護プログラムのプロCorteのプロ対プロの対決、互いの作戦の読み合いが本書の読みどころ。

もちろんジェフリー・ディーヴァーなので、どんでん返しも用意されているし、ストーリーも単調になることなく飽きがこないように工夫されている。プロに徹する主人公もなかなかキャラクターが際立っていて、ノンシリーズ物のThe Bodies Left Behind よりも良かった。

What's my goal and what's the most efficient way to achieve it? Nothing
else matters. That's the rule in the business world, medicine, science,
academia. And it's the rule in the protection field, which is a business
like any other.

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