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2012年8月18日 (土)

[本] 傑作ミステリ『解錠師』の原書を読んだ

The Lock Artist (Steve Hamilton)

主人公は服役中の凄腕の鍵師。

ストーリーは主人公の一人称で語られる。主人公は、ある理由により一言も声を出さなくなる。その設定のためか、主人公の語り口調は、わりと淡々としているように感じられる。話の内容にも無駄なところが一切無い。言葉を飾って無理に盛り上げることもない。自分の過去を一歩引いたところから見つめ直し語っていく。(ように自分には感じられた。英語力が拙いので自信は無いのだが少なくとも自分にはそう感じられた。)

全く声を出さない主人公。淡々とした語り口。なのにビシビシと伝わってくる緊張感はハンパない。人の家に忍び込むシーンとか金庫破りのシーンなどは圧巻。誰かに捕まって酷い拷問を受けるうんじゃないか、銃で撃たれるんじゃないかとか、もうやめとけ、いつか殺されるぞ、さっさと逃げろと思ってしまう。(服役中なんだから殺されるはずはないし、最後には捕まっちゃうのはわかってるはずなのに。)

この手の小説は悲劇的な救いのない結末を向かえることが多いのだが、救いのある結末で良かった。読後感も良くて満足。

Kindle で最初に読んだ記念すべきミステリが本書で良かった。

ところで、英語では一人称は I で決まりなのだが、翻訳ではどうなっているんだろう。ボク、僕、ぼく、わたし、私、オレ、俺、オイラ、... どれなんだろうか。すごく気になる。

ちなみに英語は今まで読んだ(大人向けの)ミステリの中では一番易しかった。

I'm crazy, but I'm not stupid.

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