[本] トリッキーなミステリを期待していたらサスペンスだった
『彼の個人的な運命』(フレッド・ヴァルガス)
本が好き! の献本で当選した。 1回目の当選後、3回落選した後の4回目で当選。 自分にも「4回に1回」の法則が当てはまるのだろうか。
ヴァルガスの作品を読むのは、これが2度目。 初めて読んだ作品はアダムスベルグ・シリーズの『裏返しの男』。 前作は、割とトリッキーなミステリだったので、 今回もそんなフランス・ミステリかなと勝手に期待しながら読むことになった。
ストーリーは、発達障害の青年が連続殺人の犯人として追われるところから始まる。 当然、無実の罪な訳で、真犯人を見つけるべく元内務省調査員のルイ・ケルヴェレールが東奔西走する。
導入部分は割と典型的。 ただその後の展開が微妙に緊張感が無いというか割と緩い感じ。 無実の罪で追われる青年は逮捕の窮地に落ち入ることもない。 有罪判決まで後何日みたいなタイム・リミット的サスペンスもあまり感じられない。 わざとかどうかはわからないけど、ありがちな王道的サスペンスの展開を外している感じ。
ただ、犯人として追われる青年の包囲網が徐々に狭まってくる感じ、 捜査が思うように進展しないことに焦るルイの様子など、 派手な盛り上がりはないけれど、じわじわとくるサスペンス感は良かった。
事件の真相は、さほど意外なものでもない。 フーダニットではあるけれど、消去法で真犯人の予想がついてしまう。 どんでん返しもなくトリッキーな真相が用意されている訳でもない。 真相とは関係ないところで意表を突かれてしまったところは確かにあったのだけど。
こちらが期待したものとは違う話だったので、残念ながら評価が辛くなってしまった。
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