[本] 伊坂ワールド全開のオフビートなピカレスク小説
残り全部バケーション (伊坂幸太郎)
「実はお父さん、浮気をしていました」冒頭から伊坂ワールド全開。傑作かと聞かれるとそうだとは言いづらい。 でも、この突拍子のないオフビートで軽快なストーリーがいいんだよなあ。
なんだよ。これは。どういう場面でこの台詞が出てくるんだよ。 「お父さん」ってことは、子供に言っているのか?何で子供に言うんだよ? 「実は」「していました」ってどこかふざけてないか? この冒頭の台詞でもう伊坂ワールドに引きずり込まれてしまった。後は一気読みである。
冒頭の一言で何だコレはと思わせる「残り全部バケーション」。 章のタイトルそのものがネタバレで、主人公が何をやろうとしているのか想像がついてしまうけど、それでも面白い「タキオン作戦」。 それぞれのストーリーが妙な絡み方をする「検問」。 登場人物の小学生の頃のエピソードを描いた「小さな兵隊」。 関係なさそうに見えた4つの独立したエピソードを一つに繋ぐ「飛べても8分」。 バラエティに富んだ構成になっていて退屈しない。
主人公達は決して善人ではなく犯罪に加担するような悪人である。 でもどこか憎めない。 どこかずれているような一本ネジが緩んでいるような魅力がある(実際に身の周りにいたら怖くてつき合う気にはならないだろうけど)。
雑誌か何かで、著者がローレンス・ブロックの殺し屋ケラーが好きとかなんかそんなことを言っているのを読んだことがあった。 ああ、なるほど、殺し屋ケラーかと納得した覚えがある。 殺し屋ケラーが傑作かと聞かれるとそうだとは答えにくい。 でも面白いかと聞かれれば間違いなく面白いと答える。 この作品も同じだ。オフビートで魅力的なピカレスク小説である。
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コメント
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