:[本] 『ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~』(三上延)
ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)
『栞子さんがすがるような涙目で俺を見上げた。だいぶ追い詰められている。あと可愛い。』
図書館の次は古本屋である。別に意図してそうした訳ではなくて、偶然なんだけど。こちらのシリーズは10年も待つことなく6作目になる。
今回は太宰治。栞子さんを階段から突き落としたあの田中が再登場。太宰治の稀覯本を探すミステリ。脅迫紛いの手紙が登場したり、絶対不可能だと思われているような状況から、稀覯本の盗難事件が登場したり、ミステリとしての道具立てもしっかりしている。
殺人事件が起こらないから、一見して、古本にまつわる日常の謎ミステリのように見えるが騙されてはいけない。
古書を巡るドロドロした人間関係が徐々に明らかになるし、古書に取りつかれてしまった人間の業みたいなものが相変わらず描かれているし、アスキー・メディアワークスの文庫とは思えない。栞子さんのあのキャラを取り去った後に残るのは、結構、ハードなミステリである。 更に、今回は、事件の裏で糸を引く人物がいたり、栞子さんの母親が暗躍したり、意外な人物同士に深い因縁があったり、ありそうだったりして、謀略小説顔負けのプロットだった。
シリーズもいよいよ大詰めに近づいているようで、次も見逃せない。
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