[本] 『花野に眠る』(森谷明子)
連作短編風長編ミステリ。図書館を舞台にした日常の謎ミステリ。悲しくも優しいミステリだった。 前作『れんげ野原の真ん中で』から10年。前作を読んで、ぜひ、続編を読みたいなと思ったことだけは覚えているのだが、内容も登場人物もすっかり忘れていた。10年も待たされるとは思わなかった。
連作短編形式で、全体として1つの長編ミステリになっている構成。
図書館を舞台にしているので、短編の中には、本に絡んだ謎解きもある。必ずしもフェアプレイの謎解きとは言えないかも知れないが、司書ならではの豊富な知識を活かして、図書館を訪れる人たちの疑問に応えていくところは読んでいて楽しい。わずかに記憶に残っている昔読んだ本の内容からタイトルを導き出し、「この本ではないですか」と差し出して、どうやって本を特定できたのか種明かしをしてくれるところがミステリっぽい。
それだけでは無くて、山中に埋められた白骨が見つかったり不穏な空気が漂い、白骨に隠された悲しい謎が解き明かされるなど、本格ミステリしている。
作品中に登場する本や作者を知らないことが多いのだが、今回は、違った。学生時代に読んだエッセイや友人と行った絵画展のことなど懐しく思ってしまった。絵本を図書館に借りに行ってみようかな。
どうでもいいことだけど、なぜか、能勢さんが「オレ」というのだけは馴染めないんだよなあ。
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